インタビュー◆北村日乃(きたむらかの)201705

[インタビュー実施日]2016年5月
[場所]ネット上にて



北村日乃(きたむらかの)


アーティストインタビュー◆北村日乃さん(ぬいぐるみ作家)


マレーグマ、メガネグマ、パンダなど、クマ科動物を中心にぬいぐるみを制作しているアーティストの北村日乃(きたむら・かの)さん。

「マレーグマに恋する毎日」とおっしゃる北村さんですが、恋するきっかけ、そしてぬいぐるみとしてクマを製作するようになったきっかけは何だったのでしょうか。北村さんとぬいぐるみ製作について、いろいろお聞きしてみました。

(2017.05 インタビュー・構成・編集 北山メル)


北村さんの作品は、リアルで、それでいてかわいい表情やフォルムで撃ち抜かれます。

このようなテイストの作品を作ろうと思ったきっかけはなんですか?

北村

そもそも今の作風のぬいぐるみを作ったきっかけが、動物園で見かけたマレーグマに一目惚れをしたことなんです。

どうにかして彼を手元に置いておきたい!という思いで作り始めたので、本物をそのまま小さくしたようなリアルなぬいぐるみが当初の目標でした。

だから、私の中では意識してデフォルメしているわけではないのです。

実物のスケッチを元に試作を重ねる中で、作りやすい形に自然に変わっていき、それが今の作風になったのだと思います。



北村さんご自身のニーズにご自分で応えた、という感じでしょうか。

北村

その通りです!

自分がほしいものを作っているというかんじですね。



マレーグマへの愛がなせる技ですね。

納得する形になるまで、どのくらいの日数かかったのでしょうか?

北村

日数は、飛び飛びなので曖昧なのですが……。

作り始めた当時は学生で、ほかの課題制作と並行しながらだったので、はじめの形が完成するまでに数ヶ月かかったように記憶しています。

ただ、毎回これが最高!と思って完成させるのですが、時間が経つと改良したい部分がでてきて、今でも少しずつ変わっていっています。



▲北村さんの作品(1)
ヒグマやホッキョクグマの他、マレーグマやメガネグマなどオリジナリティあふれる作品

「完成した作品を、もっと向上させたい」という作家魂を感じます。

だからこそよりよい作品が生まれるのですね。

先ほど「動物園で見たマレーグマに一目惚れした」とお話くださいましたが、動物やぬいぐるみは元々お好きだったのですか?

北村

ぬいぐるみは、いつから好きなのかわからないほど幼い頃から大好きでした。

妹と2人で1日中ぬいぐるみ遊びをしていました。

物心ついてから現在まで、枕元にぬいぐるみがいなかった時期はありません(笑)


動物は、今も昔も人並みに好き、という程度です。

ふわふわしたかわいい動物が好きなのですが、それも結局のところぬいぐるみ好きからきているのだと思います。

マレーグマを好きになってから、クマについて調べ、そのうちにクマ全般が大好きになりました。


協会

北村さんは双子さんなんですよね?

妹さんは日乃さんのようにぬいぐるみを作ったりするのですか?


北村

そうなんです!嫁に行った双子の妹がいます。

妹もときどき羊毛フェルトでちくちくマスコットを作ったりしています。

でも作るより愛でる方が向いているようで、妹よりぬいぐるみ愛が強い人に今まで出会ったことがありません(笑)



心の優しい妹さんなのですね。

幼少の頃、よくぬいぐるみを買ってもらったり作ってもらったなど、ぬいぐるみに親しめる家庭環境だったのでしょうか。

北村

そうですね、ぬいぐるみはよく買ってもらっていました。

どこかに出かける度にねだって、どんどん増えていき、今に至ります(笑)

わたしも妹も人見知りが激しい性格だったので、外で遊ぶよりも家で2人でぬいぐるみ遊びをすることが多かったです。

その頃からぬいぐるみを友達のように扱いはじめ、なくてはならない存在になっていったのだと思います。



小さな頃からぬいぐるみとのふれあいがあったのですね。それが今日のお仕事につながっていくなんて、ステキです。

今、ぬいぐるみを作るにあたって、最もこだわっているところはどういうところでしょうか?

北村

こだわりというか、目指しているところというか……なのですが、なんとも言えない表情になるように作っています。

作家以前にぬいぐるみ好きとして、こちらが楽しいときは一緒に笑ってくれて、落ち込んでいるときは心配してくれるような、そんなぬいぐるみに魅力を感じます。

わたしが作るぬいぐるみも、はじめから笑っているわけではなく、無表情でもなく、一緒にいる人によって表情を変える子になってくれれば……と思います。


あと、ちょっとしたことなのですが、鼻の穴も密かなこだわりです。

鼻の穴をつけることで可愛くなりすぎないようにしています(笑)



ご自身がぬいぐるみと寄り添う立場で、ぬいぐるみを製作しているということが伝わってきます。お客様もそうしたところに共感して、北村さんの作品のファンになるのかもしれませんね。

北村

ありがとうございます。

自分が一緒にいたいと思えるぬいぐるみを作っているので、それに共感して下さる方がいれば嬉しいです。



マレーグマのぬいぐるみやブローチなどの作品を、ぬいぐるみ協会のアトリエやネットショップで販売していらっしゃいますが、ぬいぐるみ協会との出会いをお聞かせください。

北村

ぬいぐるみ協会さんとの出会いは、ぬいぐるみの販売をはじめて間もない頃でした。

とあるカフェのイベントで、初めてぬいぐるみの委託販売をして、やはりいろんな方に見ていただくことが大切だと思い、その方法を模索していました。

そんなときに、横浜の赤レンガ倉庫で開催された「ぬいぐるミーティング」があることを知り、参加させていただきました。

その後、いたさんから声をかけて頂き、アーティスト会員として入会させていただいて、今に至ります。


協会

2015年のぬいぐるミーティングですね!



ぬいぐるミーティングに参加しての感想はいかがでしたか?

北村

委託販売はカフェのイベントを含め2回目で、そもそも作品としての製作をはじめて間もない頃だったので、右も左もわからず……。

ぬいぐるみ協会には本当にいろいろ助けていただいて、なんとか出品できたような状況でした。

ぬいぐるミーティングでもそれ以降も、SNS等で拡めていただき、少しずつわたしの作品を知って下さる方が増えているので、感謝しかありません!


協会

北村さんの作品は大人っぽい(?)方がご興味持っていただくことが多いです。

お若い方の作品なんですよーとお話しすると驚かれる方が多いです。



なるほど。クマのブローチなどは、マダムがつけても違和感ない感じですよね。
ぬいぐるみ協会は、チョコちゃんビルくんのトラベルプロジェクトや、ホストファミリーの協力によるぬいぐるみツアーなど、「旅するぬいぐるみ」がコンセプトですが、これについてどのようなご感想をお持ちですか?


北村

変な表現ですが、ぬいぐるみの使用方法の1つとして、とてもステキだと思います。

ぬいぐるみは、インテリアとして、おもちゃとして、そして友達として、使い方が持ち主によって全く異なります。

わたしが理想とするのは友達として愛されるぬいぐるみなので、ぬいぐるみ協会のコンセプトに近いかと思います。

わたしも外出のときによくぬいぐるみを連れていきますが、もしかするとこれがぬいぐるみにとっていちばん幸せなんじゃないかと最近思い始めています。

ぬいぐるみは言葉は話しませんが、愛情を込めると表情を持つようになります。

写真に写るチョコちゃんビルくんや、旅をするぬいぐるみが、どんどん表情豊かになっているのを拝見すると、愛されてるんだなーとほっこりします。



北村さんが最初に「わたしが作るぬいぐるみも、はじめから笑っているわけではなく、無表情でもなく、一緒にいる人によって表情を変える子になってくれれば……」とおっしゃっていましたが、旅するぬいぐるみはまさにそれですね。

今後、どのようなぬいぐるみを作っていきたいですか?


北村

今後……というか、まさに今、作りたいものが少しずつ変わってきているのです。

見ていると気が抜けるような、フフッと笑ってしまうような、そんなぬいぐるみを作りたいと思い、少し前から取り組んでいます。

もともとマレーグマを手元に置きたいという想いからぬいぐるみを作ったのと同じように、今の自分が手元に置きたいぬいぐるみを追求し、できたのが今の形です。

何度も申し上げる通り、作家である前にぬいぐるみ好きなので、とにかく自分が好きだと思えるぬいぐるみを作りたいのです。

今後どう変わっていくのか自分にもわかりませんが、自分の「好き」「かわいい」という気持ちに忠実に作っていきたいです。

そして、その時々で共感してくださる方がいれば幸せです。

▲北村さんの作品(2)
今までの作風と一風かわったテイストの作品

北村さんのTwitterで、今までと作風が異なるぬいぐるみを拝見しました。お口が小さくて、開いていて……みたいな。コミカルでもふもふしていて、かわいいですね。

さて、もし、北村さんが製作したぬいぐるみを旅に出すとしたら、どんな場所へ、どんな旅をさせてみたいですか?


北村

過保護なのか、ぬいぐるみたちを旅に出すイメージをすると、どうしても自分も着いていってしまいます(笑)

だから、自分とぬいぐるみたちがどこに旅をしたいかで想像しました。


小学生ぐらいから、行ったこともなく詳しくもないのにドイツに惹かれます。

赤い屋根が並ぶ街並みとか、蚤の市とか、なんとなくクマやテディベアに深く関わるイメージがあるところとか……。

わたしの「かわいい」のルーツはあのあたりにあるような気がするので、ドイツに旅をさせてみたいです。

根拠はないのですが、馴染む気がするのです。

蚤の市で出会った古いぬいぐるみたちとうちの子たちは、どんな会話をするのかなーと思います。

お話ししている様子を、私は近くでにやにや見守らせてもらえれば最高です。



ステキです!私もドイツが好きなので共感します。

さて、最後の質問です。

ぬいぐるみアーティストとして、今後の夢はありますか?

具体的な目標でも構いません。


北村

個展がしたいというのはずっと思っています。

そのためにはたくさんぬいぐるみを作る必要があるし、たくさん作るためにはしっかり方向を定めていくことが大切かなあと考えているところです。

とにかくぬいぐるみが好きで、ぬいぐるみを作ることも好きなので、長く続けていけたら幸せです。



個展が実現した際には、きっと北村さんが「恋した」ぬいぐるみたちにたくさん会えるでしょうね。とても楽しみです。

楽しく貴重なお話、ありがとうございました!




インタビューアー・北山より

北村日乃さん、とてもしっかりと質問に答えてくださり、次々とお聞きしたいことが浮かんできました。

コンセプトや将来の目標・夢もしっかりと抱いていて、見習いたいことばかりでした。

今後の作品も、とても楽しみです。




北村日乃
大阪芸術大学 工芸学科 染織コースを卒業

マレーグマをこよなく愛するハンドメイド作家。テディベア、ぬいぐるみの枠にとらわれず、独自の作風を展開している。

2015 年

・イラストレーターの父と企画展『駄菓子と熊』開催

・イラストレーターmugny 個展『煩悩展』(キャラクター「とりもち」のぬいぐるみ制作)

2016 年

・博報堂商品「pechat」※紹介ページにぬいぐるみ使用

※pechat:ぬいぐるみと会話ができる電子ツール https://pechat.jp/

・Creema Craft Party 2016 イベント冊子に掲載、PV にぬいぐるみ使用

・グループ展『キナキジマミマサオンセン』展参加

・メディカ出版雑誌キャラクター「だいたい骨くん」ぬいぐるみ制作

2017 年

・mugny 個展『プレイリスト』展(キャラクター「とりもち」ほか2点のぬいぐるみ制作)

ほか、大阪、名古屋、東京のハンドメイドイベントに多数出店


instagram[kanok0830

https://www.instagram.com/kanok0830/

ツイッター[@kano0830]

https://twitter.com/kano0830


インタビューアー・北山メル
あみぐるみ、ぬいぐるみ作家。オーガニック素材などにこだわりを持ち製作。オリジナル作品ミランコビッチ君に旅をさせ「ぬいぐるみの旅」を楽しんでいる。
またライター業も手がけている。
NPO法人日本ぬいぐるみ協会アーティスト会員 日本あみぐるみ協会会員
https://www.facebook.com/kiyurakobo