[インタビュー]なつみクリニック

[インタビュー実施日]2018年7月
[場所]
ネット上にて

今回は、「ぬいぐるみのお医者さん」、なつみクリニックにインタビューしました。ぬいぐるみの直しを専門にしているなつみクリニック。全国各地からぬいぐるみの直しの依頼が来ているそうです。
そのやりがいやきっかけについてお聞きしました。
(2018.7 インタビュー・構成・編集 北山メル)

なつみクリニック さん

◆なつみクリニックは「ぬいぐるみ専門のお医者さん」ということですが、具体的にどのような内容なのでしょうか。

なつみクリニック

インターネットショップを窓口として、主にぬいぐるみの修理やクリーニングを行っています。長年連れ添ってボロボロになってしまったぬいぐるみや、添い寝をしたり一緒にお出かけをして疲れてしまったぬいぐるみのクリーニングやお直しを行っています。

 「ボロボロになったぬいぐるみのお直し」というのは、具体的にはどういったことをするのですか?

なつみクリニック

例えば、ボディの生地が痛んで薄くなり中綿が見えているぬいぐるみは、新しい生地交換をしたり、上から被せることで丈夫になるようお直ししています。
できる限り現在の生地を活かしたい等のご要望があれば、元々の生地を裏側から補強したり、薄くなってしまった毛を植毛で生やすこともできます。
その他、色がはげたり、割れてしまった目の復元、ゴワゴワになった毛並みをサラサラに復活させるなどのメンテナンスも行っています。

すごい技ですね!
比較的直しやすいものから難しいものまでいろいろあると思いますが、何日ぐらいかかるものですか?

なつみクリニック

クリーニングや綿交換でリフレッシュされるお客さまは10日〜2週間程度、簡単なお直しをご希望のぬいぐるみで2週間程度、傷みの激しいぬいぐるみは約1か月程度でお直しできます。
またご事情により急ぎの場合は、早帰りオプションをご予約をいただき、通常よりも早くお帰りすることも可能です。

◆婦人服の会社にぬいぐるみの直しをお願いするという発想はありませんでした。
それだけ需要があるということは、みなさんぬいぐるみを直せるところを探していたんでしょうね。

なつみクリニック

そうですね。
なつみクリニックにくるお客さまに「こんなところがあったなんて!」と喜んでいただくことが多いです。

◆今まででいちばん印象に残っているお直しはどんなものですか?

なつみクリニック

うれしいことや感動することはたくさんあります。
最近は、小さな女の子がご家族と一緒に「わんわんちゃん」というぬいぐるみを連れてきてくださり、その子が直前まで「わんわんちゃんとの別れが悲しくて泣いていた」とお母様から聞いていたんですね。
かなり傷んだぬいぐるみでしたが、無事完治して画像と一緒にお直し終了のお知らせをしたところ、「うれしいことが起こった!!」と、生まれて初めてのうれし泣きをしてくださったんです。
悲しい涙からうれしい涙に変わり、女の子がひとつ成長した場面をご家族のみなさまとご一緒に目の当たりにできて、私もうれしくなりました。
そういったひとつひとつが私たち自身の励みにもなり、成長にも繋がっていくと思うと、感謝の気持ちでいっぱいになりますね。

協会

アトリエにいらっしゃる方々の中にも「子供の頃から持っているぬいぐるみを大切にしている」「生まれたときに、祖父母からのプレゼントだったぬいぐるみを大事にしている」という方がよくいらっしゃいます。
長い間一緒にいるので、「ずいぶん痛んでしまっている」というお話をよく聞きます。
私は、「綺麗にしてもいいと思いますし、小さい頃からの思い出を一緒に大切にしているぬいぐるみですから、そのままでももちろんいいんだと思いますよ。要はご自身がどうしてあげたいかだと思います」とお話しています。
「綺麗にしたいけれど、本当にきれいになるのかしら?」「痛んだところは治してもらえるのかしら?」とお尋ねされる方には、なつみクリニックをご紹介しています。
ぬいぐるみのクリニックをされている方が会員さんになってくださっていること、大変うれしく思います。 

なつみクリニック

みなさまに紹介くださり、ありがとうございます!
傷んでいる姿も思い出のひとつですから、そのままがよかったらそのまま一緒にいてあげるのがそのぬいぐるみのためだと私も思います。
もっと綺麗にしたい、傷んでいない姿にしたいといらっしゃってくださるのなら、私たちは全力でそのぬいぐるみの元気のお手伝いができるよう、お直しをしたいと考えています。
どんなに傷んでいても、手遅れになることなんてないですし、私たちはお直しを行うために日々知恵を出し合い、技術を磨いてきました。
どうか希望を捨てずにご相談いただけたらなと思っています。

◆大切なぬいぐるみを直したい、綺麗にしたいと思っている方には、とても心強い存在ですね。ところで、なつみクリニックは仙台から東京に移転なさったとお聞きしましたが。

なつみクリニック

はい、以前は仙台にお店があり、2ヶ月に1回の頻度で関東でぬいぐるみの出張診察会を開催していました。
お客さまから関東へ来てほしいとご要望が多かったことと、全国から仙台へ足を運んでくださる方がたくさんいらっしゃったので、皆さまにご足労をおかけするくらいなら私が近くへ行こう!と思い移転を決意しました。

協会

出張診察会、横浜では協会アトリエで開催くださりありがとうございます。
参加された協会員さんも、「本格的にお直しをお願いするときは、仙台に行こうかなぁ」とおっしゃっていましたよ。

なつみクリニック

こちらこそ、いつも診察会の際はアトリエを貸していただき、ありがとうございます!
「何かあったら横浜から仙台へ!!」と思っていただけたことが、本当にうれしいです。
移転した現在、ますますがんばらないとと思います!

協会

なつみさんは、子供の頃からぬいぐるみのほつれを直したり、お洋服を作ってあげたりしていたんですか?
よく思い出話で、「小さい頃、母親の裁縫道具を勝手に出して、ぬいぐるみの『手術』をしていました」なんてお話しされる方もいらっしゃって。
なつみさんの子供時代もそんな感じだったんでしょうか?

▲会員さんの思い出写真(小さな頃に大切にしていたぬいぐるみのお医者さんをしていたそう 写真コンテスト応募写真より)
なつみクリニック

私は小さい頃おばあちゃん子で、いつも祖母が私のぬいぐるみ用のお洋服や帽子を作ってくれていました。
物心ついたときから、祖母に縫い物を教えてもらっていて、よく隣で一緒に縫い物をしていたのを覚えています。
いちばん古い記憶だと、3〜4歳の頃にぬいぐるみ用のスカートを手縫いで作った覚えがあります。
今思うとちょっと危ないですね。(笑)

すごいですね、そんな幼少時から針を持っていたなんて。私も編み物はそのくらいに思えましたが、縫い針は「危ない」と持たせてもらえなかったので、必然的に興味がそっちに行きませんでしたから。おばあさまが、ちゃんと危なくないように教えてくださったんですね。素晴らしい先生ですね。

なつみクリニック

そうですね。
私は幼少期から何にでも興味があって、危なっかしいところがあったのですが、いつも祖母が見守ってくれたお陰でケガもなく、自分のやりたいことができていたんだと思います。
本当に感謝しています!

◆服の製作・直しの会社に入社なさったのもそういうことがきっかけですか?

なつみクリニック

昔からジャンルを問わず物作りが好きだったので、何かを作り出すような仕事がしたかったんですよね。
今思うと、幼少期の影響もあって洋裁の道に進んだのかもしれません。

◆おばあさまの愛情がなつみさんに伝わり、そしてぬいぐるみを大切にしている全国の方々へと伝わっているのかもしれませんね。
最後に、全国のみなさんにお伝えしたいことはありますか?

なつみクリニック

ぬいぐるみはご依頼者様にとって、とても大切な宝ものです。
かけがえのないぬいぐるみと幸せな時間を過ごすために、最良の方法を一緒に考えていけるよう、細やかなサポートを心がけています。
ぬいぐるみと依頼者様が安心してご利用いただけるよう努めておりますので、少しでも気になることがございましたら、お気軽にご相談いただけたらと思います。

◆なつみクリニックを必要としている人たちが、たくさんいると思います。これからもがんばってください!
ありがとうございました。

杜の都なつみクリニック
[HP]http://natsumi-clinic.com/

インタビューアー・北山メル
あみぐるみ、ぬいぐるみ作家。オーガニック素材などにこだわりを持ち製作。オリジナル作品ミランコビッチ君に旅をさせ「ぬいぐるみの旅」を楽しんでいる。
コミュニティカレッジ「下北沢大学」のポスター、フラッグ、DMのあみぐるみをデザイン・製作。
またライター業も手がけている。
NPO法人日本ぬいぐるみ協会アーティスト会員 日本あみぐるみ協会会員
http://kiyurakobo.net